花車文 (はなぐるまもん)

江戸時代に入って盛んになった文様。

室町時代に華道が誕生し、やがて貴族や武家の間で花を飾ることが風習となり、江戸時代には町人層においても憧れを込めて、きものの文様のモチーフに取り入れられました。

車と四季の花を組み合わせた文様で、御所車の屋形の代わりに花を挿したもの、車の上に花籠を乗せた意匠、源氏車に花をあしらったものなど、様々な表現が見られます。

能装束にも籠目文を下敷きに花車を織りだした唐織などがあります。

華やかな王朝趣味の意匠として現代にも愛され、礼正装に用いられます。




【花車】 はなぐるま

御所車の車は大きな二輪、その上に花籠を乗せていますが、花は現代の生け花に通じる立華風です。

牡丹、菊、楓を配すれば、季節にとらわれない文様となります。

花車は各種の花を盛り込んで、季節性を超えているのが特徴です。



【花車】 はなぐるま

籠の中には牡丹、つつじ、杜若、梅、桜に菊と百花繚乱。

御所車や花車文は、婚礼衣裳に用いられることが多く、振袖模様に用いても若々しい華やぎがあります。



きもの文様事典

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